「舞梨奈…。なんでこんなことになったんだよ。早く目を覚まして、元気な姿見せてくれよ。俺も涼也くんたちも舞梨奈のことずっと待ってるから。」
お兄ちゃんは心配そうな声で私に話しかけると、私の手をぎゅっと握った。
涼也が手を握ってくれた時は、手が触れる感覚もあったし声も聞こえてた。なのに、今はもう感覚なんてない。声も聞こえない私。
「兄としてなんにもしてやれなくてごめんな。」
お兄ちゃんが謝った。
すると、藤沢先生が来た。
「夢希斗くん。」
「先生。」
「舞梨奈はこのままずっと意識戻らないんですか?」
「昏睡して時間が経つにつれて、回復の見込みは少なくなるんだ。だけど、長い時間昏睡していた人が奇跡的に目を覚ました事例はいくつもある。だから、意識が戻る可能性はゼロじゃないよ。」
「先生…。」
藤沢先生は優しく微笑んでお兄ちゃんの肩をさすり励ました。
