涼也の優しさが身に染みた。
夕方。
私は眠っていたのに手の震えが止まらなくて起きてしまった。
必死に抑えようとするけれど全然治まらない。
体全体から感じていた熱さもまだある。
涼也は寝室にはいなかった。
するとゆっくり寝室のドアが開いた。
「舞梨奈?起きてたのか。」
涼也が私のそばにくる。
「手...。」
「手?震えが始まったんだな。」
涼也は両手で私の手を包みこんだ。
そして体温計を見てみると38.3℃だった。
「少しだけ下がったね。なにか飲む?」
「ううん。」
「震えが治まったらまた寝なよ。」
「私が眠るまで手握ってて。」
「当たり前だろ?安心して寝ていいから。」
涼也は優しく微笑んだ。
私はうなずく。
それからしばらくして震えが治まった。
また眠りについた私。
夜。
お兄ちゃんと涼也はリビングにいた。
