夜。


お兄ちゃんが帰ってきた。


「ただいま。」


「おかえり。」


「お兄ちゃんおかえり。」


「え?もしかして涼也が夜ご飯作ってくれてるの?」



「うん。まあ、大したものじゃないけどね。」



「ありがとな。」



「お兄ちゃん。」




「ん?...どうした?何かあったのか?」



私の目を見てお兄ちゃんは勘づいた。



夜ご飯を食べる前、私はお兄ちゃんに今日あったことを話した。


「どうして舞梨奈ばかりこんな思いをずっと...。」



「大丈夫、ゆっくり向き合っていくから。」



「でも、完全に良くなるわけじゃないんだろ?」



「うん、個人差あるみたい。だけど私頑張ってみる。」



「...分かった。少しでもつらくなったらちゃんと言えよ。俺たちしっかり舞梨奈守るから。良くなるといいな。」


「ありがとう。冷めちゃうから食べよ?」



「そうだな。」




涼也が続いて言った。



私はこの時無意識のうちに明るく振舞っていたのかもしれない。