「分かったわ。お薬出しておくね。」


「はい。」


「点滴終わって、落ち着いたら帰ってもらっても大丈夫だよ。お大事にしてね。」


「ありがとうございます。」


私の言葉に続いて涼也が頭を下げた。



薬は出してもらったけれど、飲んで症状が良くなるのかは個人差があること、飲んでも症状が慢性化してしまうことがあることが私たちに伝えられた。


あの苦しい出来事は忘れたくても一生忘れることができない。



つらくてこわいフラッシュバックが少しでも良くなればいいな。


そう願って日々闘うしかなかった。



帰り道。



「涼也、学校行きなよ。この後も授業あるんだし。」



「舞梨奈を放って行けるわけないよ。今日は俺も学校休んでずっと舞梨奈といる。」


涼也は微笑んで言った。


「でも...。」



「俺は大丈夫。舞梨奈と一緒にいさせてよ。」


私をそっと包み込むような涼也の声。


「ありがとう。涼也。」