「そしたら穂花が『絶対シチューはご飯だって』って言いはるのー。」
「いやシチューはパンだろ。」
「でしょ?」
そんなたわいもない話をしていた。
すると、目の前の街頭テレビに映画の予告が流れた。
そこには黒ずくめの人物が刃物を持って女性を刺してる映像だった。
それを目にした私は、その場に立ち止まり一瞬で周りの音を全て消し去っていき、今までの事件がフラッシュバックした。
「舞梨奈?」
涼也が驚く。
心臓がバクバク...鼓動が高鳴り痛む。
私は必死に胸あたりを抑える。
「舞梨奈!?苦しい?」
同時に息が荒くなって苦しくなり、ついに立つことさえできず、倒れ込んでしまった。
「舞梨奈!!しっかりしろ!舞梨奈!!」
涼也が必死に呼びかけ、私の肩をたたく。
涼也の声がだんだん小さくなっていき、私はそのまま意識が遠のいていった。
私は桜木総合病院に運ばれた。
救命センターの処置室。
