お兄ちゃんは優しく言った。
「私もそう思う。」
「そんなの分かってるよ。」
すると、立ち上がった涼也の目から涙が1滴こぼれた。
「ごめん…。」
涼也は私たちに謝って2階の部屋に行った。
「涼也!」
私が呼ぶ声。
私たちの目もうるうるしていた。
「ほんとの両親って一体何だろうな…。」
「えっ…?」
「亡くなってしまったけど、俺と舞梨奈には本物の両親がいた。ほんとの両親がいた俺たちには涼也の気持ち、ちゃんと底から分かってあげられてないんだろうな。」
「お兄ちゃん…。」
お兄ちゃんの言う通りだ。
今は涼也1人にさせておいた方が良いのかもしれない。
でも、どうしても私は涼也のそばにいたいと思うばかり。
翌朝。
起きて部屋を出ると、涼也の部屋が空いている。
涼也、リビングにいるのかな。
お兄ちゃんがいるリビングへ行くと、涼也の姿はなかった。
