そう簡単に忘れられるはずないなのに。自分勝手にひどいこと言って、俺、兄失格だ…。もうどうしたらいいか分かんないんだ。」


どんなに辛いことがあっても、今までお兄ちゃんは人前で弱音を吐いたことはない。



お兄ちゃん自身も本当はすごく辛いはずなんだ。



「俺がとやかく言えることじゃないけど…、夢希斗くんも舞梨奈も、誰かのために何かしようって一番に考えてる気がする。
だから、必死になればなるほど、2人の思いにすれ違いが出てくるんだと思う。夢希斗くんは、その逮捕された上司の人こととか会社のこととか、考えなかったら、会社辞めることにしてた?」



「ううん。俺自身だけなら辞めたくない。」



「だったら、辞める必要なんてないんじゃないかな。クビになったわけでもないんだし。自分の気持ちを抑えたままだと、どんなに頑張っても空回りばかりして、ただただ苦しいだけ。辛いだけだよ。誰にだって、ひどく当たってしまうことなんてある。