「最善を尽くしたんだが、心臓の悪化は思ったより進行してて、もうほとんど手をつけられない状態だった。」
「そんな…。」
あの時見た琴音さんの顔が、声が、笑顔が、仕草が、何もかも最後だったんだ…。
ついさっきまで元気だったのに…。
こんなの早すぎるよ…。
私も千歌ちゃんも絶望感に押し潰されそうになっていた。
しばらくして、琴音さんの病室に行った。
シーツや布団は全部片付けられていて、明るかった琴音さんの病室は、殺風景な病室へと変わっていた。
すると、台の上には白い封筒があった。
"小川舞梨奈様"
私宛て…?
裏を見ると、"相原琴音"と書いてあった。
中庭に行き、封筒を開けると白い紙に黒い行線が入った便箋が2枚入っていた。
さっそく読んでみる。
『拝啓 小川舞梨奈様
突然のお手紙ごめんなさい。
でも、舞梨奈ちゃんに伝えたいことがあって手紙を書きました。
この手紙は、私が亡くなった時に私の病室に置いてほしいと、私から高木さんに頼みました。
舞梨奈ちゃんと出会い、この数週間私にとって幸せな最期を過ごせました。
