「……いい加減にしてよ。」

美嘉の声が聞こえた。

俺に言ってんのか⁇
とりあえず 俺は動きを止めた。

「私が本当に透哉と別れたい、なんて思っていると思ってる訳⁉︎

昨日、私が嘘ついてたの 何で気づいてくれないの⁉︎」

……そんなん、知らねーよ。
理不尽すぎるだろ、それ。

でも……そうだよな。
俺は 美嘉のことを何も分かってない、っていうことだよな。

「悪い。」

「 "悪い" じゃなくて、もっと別のことを言ってよ‼︎」

……別のこと⁇

「 "やり直そう" とか、言ってよ‼︎」

……え⁇

「もう1回……俺と付き合ってくれるのか⁇」

美嘉はコクリ 頷いた。

「美嘉……俺とやり直してくれ。」

俺は 美嘉に手を差し出して、頭を下げた。

「はい。」

美嘉は俺の手を握ってくれた。

「おい、俺のことを放ったらかしにすんなよ。」

「瑠希さん……昨日 すっぽかした説教、ちゃんと受けます。

もう1回、美嘉とやり直す上で 瑠希さんの説教を受けてから 再スタートをしたいので。」

俺は真っ直ぐに瑠希さんを見て、言った。