「大嫌いだけど?」

樹里は苦笑しながら拓也を見る。

「うわ~えらいストレートやなぁ。んなら何で止めに入ったんや?」

「お前の事は大嫌いだ。だけど,喧嘩とかはもっと嫌いだからな。」

にっ。と笑う樹里。

そんな樹里に返す言葉が見つからず,何も言えずにいる拓也。

「んじゃ,あたし帰るわ。じゃぁな~!」

そう言って走り去って行く樹里。

「……おもろい女。」

風にかき消されそうなくらい小さく呟き,樹里の後ろ姿を見ながらクスクス笑う拓也。

この日を境に拓也は樹里に興味を持ちはじめた。