時計が午後4時を示している
そろそろ幸太が帰ってくるはず

パタパタパタ

足音…？

私は今、家に1人
聞こえるはずのない足音が聞こえた方向に視線をやった

「…幸太。帰ったの？」
リビングの入り口に幸太が立っていた
「うん」
幸太はそれだけを言うとすぐに自室のある2階へと上がっていった
明らかに様子がおかしい
いつもなら玄関を開けるなり"ただいま"と元気な声を聞かせてくれる
それが今日は…

今日は夏休みが明けて初めての登校だったためいつも以上に疲れを感じたのだろう
この時はこの程度にしか考えていなかった

しかし、日が立つにつれ幸太はますます元気を無くしていった

「…いってきます」
「気をつけてね」
ガチャン
幸太の様子が変わり始めてから1ヶ月
私の頭にはある１つの言葉がずっと回り続けている
信じたくはない。まだ可能性の話でしかない。
まさか
まさか幸太が
いじめにあっているなんて