"着信 3件 優"

ケータイに通知がきている。
私にはまだ片付けなくてはならない問題がある。
優のことは今でも好きだ。
でも、今は優のことを1番に考えることはできない。
今の私にとって1番は幸村さんだ。
この状況のことを話さなきゃいけない。
もちろん、信じてもらえるとは思えないけど。
だけど、どうにかしなきゃ。

「夏希殿。」
私が大学へ行こうとすると、幸村さんが呼び止めた。
「いってきます。どうかした?」
言い出しにくそうな顔をしている。
なんだろう。
もうこっちには来ない…とか?
「…そのドアの向こうに出てみたい。」
幸村さんが発したのは私の予想したこととは全く違う答えだった。
良かった、そう思った。
そうだよね、この部屋は狭いしさすがにやること無さすぎるよね。
幸村さんはまだ飽きてはないみたいだけど…。
「そうだね、今度外に行こう。もっと早く言ってくれれば良かったのに!」
幸村さんとお出かけ…。
鍵のこととかも教えなきゃね。
いずれは幸村さんが1人でも好きな時間に出られるように。
幸村さんにいってきますともう一度言って、私は大学へと向かった。