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「次は何をする?」

「トランプゲームをしようじゃないか。」

「良いね ポーカーでもしようか。」

「え〜 ポーカーじゃ ソマリが一人勝ちじゃないか。 なぁソマリ?」

ソマリ「え?あぁ うん・・・そうだね。」

「レイフトのポーカーフェイスは最強だよな。」

ドクンッ

''ポーカーフェイス''

一番聞きたくない言葉・・・。

僕にはこの言葉はまるで毒のようなものだ。

「どうした?レイフト?いつものポーカーフェイスはどうした。」

ガタッ

ソマリ「ぁ・・・ これ以上・・・何も言わな・・いで。」

「何言ってんだよ。無表情の奴が。」

「そうだよ 感情無し!」

ソマリ「なっ!?」


「感情ないし 何言っても無表情だし きもいんだよ!!」

ソマリ「え・・・。」

ハッ

ソマリ「はぁ・・・はぁ・・・。」

レイア「ソマリ君!大丈夫ですか!?」

レイク「起きた・・・?」

ソマリ「ここ・・・は?」

レイア「ここは ソマリ君の部屋です。昨日の事・・・覚えていますか?」

ソマリ「昨日の事・・・?」

レイク「ソマリ 屋上で倒れていた。夜中 屋上で何してた?」

ソマリ「屋上・・・!確か 屋上に行ってそれで戻ろうとしたら・・・。そっから何も覚えてない。」

レイア「どうして ソマリ君は屋上に?」

ソマリ「屋上から物音がして それで行ったんだ。」

コンコン

ガチャ

ティグアム「ソマリ 気分はどうですか?」

ソマリ「ティグアムさん・・・大丈夫です。」

僕は頭を殴られていたらしく 頭には包帯が巻かれていた。命に別状はないようだ。

ティグアム「傷が治るまで貴方は休んでいなさい。」

ソマリ「はい、すみません。」

皆は仕事に向かった。部屋には僕 1人になった。

ソマリ「ふぅ・・・。」

一体誰がこんな事をしたのだろうか。恨まれる事した覚えないし・・・。

まず 屋敷に侵入者がいるなんてありえないし。う〜ん・・・。

ズキ

ソマリ「っ・・・頭いったぁ。・・・あ。」

テーブルの上に新聞紙が置いてあった。今日の分か、どうせ暇だし 読むかな。

ベッドの上に新聞を広げ読み始めた。

【ポーカーcatの行方 彼のその後 】

《トランプゲームの1つのポーカーゲーム その世界チャンピオン''ポーカーcat''

優勝 10回目の大会で突如 姿を消し それから姿を見せなくなった。一体 彼はどこに?》

''ポーカーcat''ねぇ・・・懐かしい名前だな。

カサッ

物音がしてドアの方に振り返った。ドアの隙間に白い物が挟まっていた。近づいて見ると、

どうやら白い封筒に入った手紙だ。中を取り出す。

《深夜12時に月崖に来い》

ソマリ 「なんだこれ?月崖に来いって・・・。」

でも、もしかしたら昨日の犯人が分かるかも。





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深夜12時 月崖に到着

ヒュゥゥゥ

風が冷たい 。

僕は手紙の通りに月崖に向かった。本当は部屋を抜け出しちゃダメなんだけど・・・

崖に人影がみえた。多分 手紙を送ってきた人だ。

そっと歩いていたんだけど、人影がこちらを振り返った。僕は自分の目を疑った。

ソマリ 「な、どうしてホトお嬢様が・・・。」

人影は灰色の髪に深い青い瞳 間違いなく ホト・チェルシーお嬢様だ。でもー

違う。確かに似ているがどこかが違っていた。あの優しい雰囲気のお嬢様ではない。

今 僕の前にいるのは悪意を持ったホトお嬢様。僕は後ずさった。やはり・・・と僕はつぶやき確信した。

ソマリ 「この手紙を送ってきたのはホトお嬢様ですね?」

手紙を指さした。ホトお嬢様はコクリとうなずき 次の質問をした。

ソマリ 「昨日 僕を殴ったのはホトお嬢様ですか?」

ホトお嬢様は涙目で首を振った。

ソマリ 「では 誰がやったのですか!」

ホトお嬢様は俯き黙り込んだ。

手紙を送ってきたのはホトお嬢様。殴ったのは恐らくホトお嬢様だ。外見は一緒でも中身が違う。

証拠は全て揃った。僕はホトお嬢様にある言葉を投げつけた。

ソマリ 「 double personality。」

ホトお嬢様は顔をあげた。

ソマリ 「'' double personality''の意味は''二重人格''貴方は解離性同一性障害ではないでしょうか?」

ホト 「・・・・・・フフ 流石だな、心理学者 ソマリ・レイフト!」

明らかにホトお嬢様ではない、こんな喋り方はしない。

ソマリ 「貴方は誰ですか?」

ホト 「僕はコラット。もう1人のホトだ。」

ソマリ 「コラット様に質問します。いつからホトお嬢様は二重人格だったのですか?」

コラット「・・・ホトが引きこもりになった時だ。」

じゃぁ8ヵ月位か・・・。僕は深く考え込んでいた。それがいけなかったんだ。

ザクッ!

ソマリ 「っ・・・。」

腕に激痛が走った。腕を見ると、血まみれだ。ホトお嬢様の手には血の付いたナイフが。

冷たい目で僕を見下す。そしてニヤリと笑った。

コラット「僕を消す事なんて出来ないよ?知ってるよ ソマリ・レイフト
君は心理学者ともう一つの顔がある事をね。ねぇ ポーカーcat!」

ソマリ 「・・・!?な 何故 それを知って・・・。」

コラット「フフフ、流石ポーカーcat 持ち前のポーカーフェイスで見事に執事を演じでいたね。」

パチパチとコラットが拍手をする。

コラット「でも 僕を騙す事は出来なかったね。」

彼はナイフを僕の首に突きつけた。

コラット「I win 僕の勝ちだ。ソマリ・レイフト!!」

I win・・・ねぇ。懐かしいなぁ この気持ち この痛み でもね コラット様 僕を殺す事なんて出来ないよ



ソマリ 「アハハハハ!」

ビクッ

コラット「な、何がおかしい!?」

ソマリ 「アハハ!確かに見破られたのは残念ですでも 僕にはまだ裏の顔がある事には
お気づきになられなかったようですね。」

コラット「!?」

ドガッ

僕はコラット様を思いっきり蹴飛ばした。

コラット「ゲホッゲホッ!」

拍子に持っていたナイフを落とした。僕はそれを拾い上げて、コラット様の頭を踏みにじる。

ソマリ 「まぁ 僕も貴方には騙されましたよ。まさか ''男''とは思いませんでした。」

グリ

コラット「・・・ッなぜ 分かったっ・・・!!」

ソマリ「執事として潜入する時は調べる必要がないと思い多少しか調べなかった。
でも改めて調べる事にしたのですよ。そしたらチェルシー家には娘はいなかった。」

ずっと騙されたフリをしていた。全く とんだ茶番だ。

ソマリ 「今日で 全て終わりにしましょうか コラット様、いや ホト様!」

僕はホト様の上に馬乗りになり ナイフを振り上げた。

コラット「ま、待って・・・。」

そんな声 今の僕には届いていない。

ソマリ 「さよなら ホト様。」

グサッ





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僕は顔に付いた返り血をハンカチで拭った。全くこんな子供の茶番に付き合ってやった僕の気持ちにも

なって欲しいものだ。もう ここには居られない。僕は首を切られた ホト様を見下し 言った。

ソマリ 「まったく、''殺し屋''の僕相手に調子に乗っているからこうなるんだよ・・・。」

僕はその場を去った。

その数日後の新聞でホト・チェルシーは遺体で発見されたと書いてあった。まぁ 自殺に見えるよう細工をしてあるから

警察も自殺と処分するだろう。

僕は新聞を閉じた。

バサッ

風で新聞が空を舞った



忘れないでよ?ホト・チェルシー ''ポーカーcat''の名を