「コンコン」



うすっぺらいドアを叩く。


ここは、壁の薄い、ぼろアパートの一室。


外見からして、こんなところに人が住んでいるとは考えられない部屋である。



現在時刻、午前2時。


いくら7月になって日が長くなったとは言え、真っ暗だ。


この時間になっての訪問者なんて不審者以外の何者でもない。


俺だってこんな仕事したくないと思っている。


人の命を奪っていく仕事なんて…