さっき無理して飲んだコーヒーが、戻ってきそうなくらいだ。
あふれ出そうな嗚咽をかみ殺して、
出てくる涙を手の甲で拭う。
ふらふらする。
このままだと倒れてしまいそうだ。
あたしは何処か、ゆっくり休めるような場所を探そうと思い、
辺りをきょろきょろと見渡す。
「さくらや」と書かれた看板があった
ガラス張りになっていることが多いのが最近のカフェの特徴でもあるが、
このカフェは、そういうような———時代の流行のようなものには
流されていない、古風な雰囲気を醸し出していた。
昔ながらのマスターがいて、常連客が数名いて、
何処かなつかしさを感じるような、
こじんまりとした店内・・・を想像したあたしは
重々しい扉を開き、店内へと入った。