「白金先輩のこと、幸せにするって言ってたじゃない。どうして?」

「もちろん、純には幸せになってもらいたいです。でも…」

「でも?」

「それよりも、助けたい人がたくさんいることに気づいたんです」


助けたい人…?



「今まで天使は、運命だと理由つけて人間を見殺しにしてたような気がします。でも、ダイヤは自分の命を削ってまであなたを助けて、本当に立派だと思います」

「サファイア…」

「だから、私はこれから、病気や怪我で苦しむ人を助けることに力を使うことにしました。これもきっと、天使の役目です。大丈夫、純は私がいなくても、きっと幸せになれます」


サファイアは微笑んだ。


ダイヤの行動で、一人の天使の生き方が変わったんだ。


すごい、ダイヤ…。



「がんばってね、サファイア。でも、怒られたりしない?」

「ありがとうございます。まあ初めはあちこちからバッシングを受けると思いますが、悪いことはしてないですし、なんとかなるでしょう」


サファイアが笑う。


私も笑った。



「では、そろそろ行きます」



サファイアはふわりと飛び上がった。



「姿を現さなくても、私はいつもあなたたちを見守っていますよ。それでは」



サファイアは遠くへ飛んで行って、見えなくなった。



私はずっと、手を振り続けた。