「…よし」


ヘアゴムをぎゅっと強く握ると、もう一度ポニーテールを作った。


そして、前をまっすぐ向いた。

下を向いたら、決意が揺らぎそうだから。



街が見える。


その上には空が広がる。



大丈夫、怖くない。


ゆっくり目を閉じる。



やっぱり、思い浮かぶのはダイヤの顔。



私が死ねば、ダイヤはまだ生きられる。



ダイヤに恩返しできる。



元気でね、ダイヤ。


さようなら。



私は目を閉じたまま、ゆっくり前に倒れるように、屋上から飛び降りた。