悪魔に取り憑かれました。

俺はすぐに真珠の病室に降りた。


いつの間にか真珠一人になっている。


窓から入った俺を見て、真珠はぽかんとしている。



「真珠、俺が分かるよな?」


返事がない。


ただ、俺をぽかんと見つめている。



「真珠!俺のこと分かるだろ!?」


思わず真珠の肩を掴んで、顔を近づけた。


しかしー…。



「おにーちゃん、だれ?」


そう言われた瞬間、頭が真っ白になった。



何も言わず、病室を出た。



俺の顔を見て、天使は笑う。



「少女に懐かれて、病気を治して、幸せな気分に浸っていたんですか?馬鹿ですね、所詮あなたは悪魔なんですよ。人間を不幸にすることで生きながらえるしかできない、悪魔なんだよ!」



天使は相変わらず笑い続ける。


ルビーは唖然として天使を見る。


俺は、表情も変えずに天使にゆっくり近づく。



「さあ、今度は私があの少女を幸せにしてあげるとしましょうか。病気の上、悪魔にまで取り憑かれてたんじゃ哀れすぎて…」


「させねえよ」



ありったけの力を込めて、天使の首を掴んだ。


その瞬間、真っ赤な爆発が起きる。


爆発が徐々に収まると、目の前には何もない。


自分の手のひらをじっと見つめてみる。



…ああ、初めてだな。


天使を殺したのは。