「…ダイヤ、あんたまさかあの子どもの病気治してやろうなんて思ってないでしょうね」


ルビーが顔をしかめる。


黙っていると、ルビーは言葉を続けた。



「ダメよ。そんなことしたら死ぬわよ」



…じゃあ、あいつを見殺しにすんのか?


そんなことできない…!



「病気を治して寿命が減ったとしても、そのあと必死こいて人間を不幸にすれば問題ねーだろ!」


「考えが甘いわね」



ルビーはするどく俺の顔を指差した。



「一度そんなことしてみなさい、だんだん人間を不幸にするのができなくなってくるわよ。罪悪感に襲われて、自分が嫌いに…」


「うるせえな!!!」



カッとなって、怒鳴った。


ルビーは顔色ひとつ変えずに、俺をじっと見る。



「俺はもうとっくに、自分が嫌いになってんだよ!!!」



そう言うと、ルビーは少し目を見開いた。

少し沈黙が流れたあと、ルビーが口を開く。



「…仕方ないじゃないの」


ハッキリしない、小さな声。


でも、次の声はハッキリ聞こえた。



「悪魔なんだから」



悪魔だから?


そんな理由で諦められるなら、最初からこんなに悩まねーんだよ………!



俺は勢いよく立ち上がった。



「俺は悪魔だ。でも、あいつは絶対に不幸にさせない」