見捨てればいいものを、俺はなぜか戻った。



「おい、泣いてんじゃねーよ」

「ううっ…いたいぃ……っ」



ガキを起こしてやると、膝を擦りむいて血が出てる。


…仕方ねえなあ。



ガキの膝にそっと手を当てる。


ぼうっと青白く光り、傷が塞がっていった。



「ほら、もう痛くねーだろ。泣くな」



ちっ。


この俺が人間の怪我を治してやるなんて。



こういうことするとせっかく延ばした寿命が縮むんだよな。


あーもったいない。



「…ん?」


ふとガキを見ると、キラキラした顔で俺を見てる。



「おにーちゃんすごい!魔法使いだ!」

「ちげーよ、悪魔だよ」

「くま?」

「ちげー!!!」



そのガキはニコニコしながら言った。



「私、真珠って言うの。よろしくね、おにーちゃん!」