「おはよ!羽琉っ!昨日の電車事故、羽琉がいつも乗ってた電車だったね。良かった、羽琉が生きてて!」
「おはよー。心配してくれてありがと!…昨日はタクシーにしたんだ。」
「そーなのか!運がいいね!…羽琉…、どうしたの?まだ具合悪い?」

鋭いんだよね、依織って。

「…ううん、大丈夫だよ。ありがとう!」
「ほんと?羽琉、私になんか隠し事してるんじゃない?」

どうして、わかっちゃうんだろう。

…依織には言っても良いのかな…。
ううん、信じるわけがない。

いや、依織だよ?信じてくれるかもしんない。友達だもん。
…言ってみる…?

「…ごめん、依織に秘密にしてた事がある。」

信じてみるしかない。
これは、賭けだ。

「…うん、大丈夫だよ。言ってみて?」

…ほら、言うんだ。



「私、“見える”んだ。…人の、運命が。」



「…え、運命?」

「うん。」

「…私の運命、今、見える?」

「…ううん、なにかが起こるときしか見えない。」

「…てことは、昨日のあれは……電車の事故を予知してたの?」

「うん。」

「…へー、ほんとにそういう人、いるんだ!すごいじゃん!!」

「…え?すごい…?」

依織は、柔軟。
だから私のことも、すぐ理解してくれる。
…そうだ、そうだよ。依織って、そういう友達だった。

「すごいよ、私には、というか、普通の人にはできないじゃん!」

「…ありがとう、依織。」

「うん!羽琉こそ話してくれてありがとね!」



依織



私、依織に話して良かったよ。