《あ…あたし…》


ふと前の彼女の事が頭を

よぎった。



あたしを初めて逢った時

から好きだと言ったナオ。



でも…彼女がいたナオ。



前の彼女にも同じ事を

言ってたのだろうか?



『タバサ…?』


ナオの顔が近づく。


《あたし結婚なんて

まだ考えられないよ…》


『わかってる…もちろん

学校卒業してからだ!』


《ううん、

そうじゃなくて…あたし

まだ先の事なんて分から

ないよ…それに…》


『それに…なんだよ?』



【ドクン…ドクン…ドクン】



《前から思ってた…

ナオは彼女いたのに

あたしと逢ったり…》


『それはタバサを好きに

なったからだって!』



【ズキン!】



《ナオは、そんなすぐに

気持ちが変わるの??

彼女に対する気持ちって

そんなもんなの??

そんなに簡単なの?!》




今まで

溜まっていたものが

あたしの中から噴き出た。




最低最悪な

生まれて初めての

プロポーズ――――