代わりにゾンビの腹には刃物のようなものが突き刺さっていた。

そしてゾンビは横に倒れていった。

何が起こったの?

もう1人のゾンビは逃げた。


「お姉さん、大丈夫」

その声を聞いてあたしは我にかえる。

見上げると食堂にいた美少年の姿だった。

そしてこちらに手を伸ばしている。

どうやらこの子はあたしを助けてくれたみたい。

「た、助けてくれてありがとう。君がいなかったらあたしを殺されてた。」

あたしは少年の手を取り立った。

少年の手元を見ると血だらけの包丁を持っていた。

「大丈夫。お姉さんを殺したりしないよ。少なくても僕は人殺しなんかしない。包丁は偶々落ちてたから。」


ホッとするあたし。

「あ、紹介が遅れたね。僕は五十嵐 音也(いがらし おとや)。よろしくね。」

「あたしの名前は相良 紫。こちらこそよろしくね。」


音也くんはあたしより少し小さいから見上げている。


「ところでお姉さんはどうしてここに?」


「あー…実は…」