花夜と会ったのは
小学校三年生の秋でしたね。
三ヶ月の誕生日の違いから
姉になった君に
文句を言ったのを
昨日のことのように
覚えています。

中学生に上がるのを境に
父さんたちは離婚して
また、君がどこに
いるかも分からない他人になって
ひどく悲しいとおもいました。

だから高校生になって
君に会えたとき本当に嬉しかった。
目に見えない糸が
あると信じたほどでした。

けれど君は僕に
気づかないふりをしました。
それがどうしてか
僕にはわかりませんでした。

二年目の今になって
君がやっと僕を見てくれた。
それが嬉しくて
女装コンテストだって言うのに
すぐにOKしてしまいました。
君も驚いていたね。

君に近づかなきゃと
焦りが生まれたのは
君が楽しげに笑うからでした。
僕以外の人間に
その笑顔を向けるのを
見たとき熱烈に感じた嫉妬。

僕は君を好きなのだと
理解しました。
そして同時に
君が僕を知らないふりしたり
今さら近づいたりした意味も。

僕らが結ばれるための
数多の障害。
それでも自分に
姑息な言い訳を用意して
君に近づきました。

小学生の学芸会で
姉だからと
僕の花嫁役を拒んだ
冷たい姉さん。

今ならゆるして
くれますか。

例えこの世界が
僕らに優しくできていなくても。

病めるときも
健やかなるときも
喜びのときも悲しみのときも
富めるときも貧しいときも
死がふたりを別つまで
僕は



「君を愛すると誓います。」