「とにかく、帰ってからゆっくり聞くから。今、忙しいんだ」 「帰ってきたら、また『気のせいだ』で、ごまかすんでしょう!」 「美都…。とりあえず、切るぞ」 総之助は電話を切り、デスクの椅子に座り、大きく ため息を吐いた。 そんな様子を、隣のデスクの早田《ハヤタ》がニヤケ顔で見ていた。