文月の叫び声は、やはり総之助には聞こえていなかった。

文月は総之助の身体に抱きついた。

彼女のからだは、総之助の身体をフッと『通過』する。

文月のからだはまるで気体(きたい)のように、総之助の身体と接触することは出来なかった。