それからまた1ヶ月が過ぎた。
学校はやっぱりいつも通りで。
まあ公言はしないけど隠すこともしない2人の雰囲気に、
女子は若干気づき始めていた頃。
「誰かケータイなってね?」
いつもの通りお昼をうるさく食べていたら、泰成が急にそんなことを言い出した。
「あ、」
私かも。
ポケットがさっきからずっと震えてる。
メールかと思って無視してたけどちがうみたい。
この番号…楓だ。
何だろう。
「ごめんちょっと電話出るね。」
みんなに一言断って通話ボタンを押す。
「ねえ何?」
『あ、もしもし凛?楓だけど。』
「知ってますけど。何?今お昼食べてんだよね。」
『え、ああごめんごめん。その調子なら大丈夫そうだね。』
…?大丈夫そうって…何のこと?何が?
「え、何が。」
『何がって…おじいさん危篤状態なんでしょ?』
おじいちゃんも何も…
私そっち系の人全然会ったことないし。
「どういうこと?なんでそれ楓が知ってんの?
ちゃんと一から説明して?」
全然状況が飲み込めない。
私の感情を感じ取ったのか龍青をみると心配そうな顔で私を見ている。
『えー?
凛のお父さんから、うちの父が危篤状態なんで申し訳ないけど
バイト一週間休ませれるかって電話あったけど?』
うそ。なんで?
「本気で言ってる…?」
お父さんって。なんで。
『え、うん。何どうしたの凛。りーん、大丈夫?』
「え、あ、うん。ごめん…。」
『いやいいけど。
…だから気兼ねせずにゆっくり休みな。
バイトは私と店長と蓮でどーにでもなるから。』
「うん、…うん。…分かってる。…ありがとう。」
お父さん?本当に?
自分で頭の整理が追いつかない。
「凛。大丈夫か。」
「あ…あ、うん。ごめんね。」
「どうした。」
「なんでもない。おじいちゃん危篤って電話あった。」
うそじゃない。
あの人がシナリオを与えてくれているからわたしは下手に取り繕う理由がない。
でも、なんで今更。
なんで、また。
また、あの人と一緒に暮らすの…?
「凛それかえらなくて大丈夫なの?」
「大丈夫。まだ危篤だし。
だからしばらくはまっすぐ家帰っておいでっていう連絡だったの。」
「なるほどね。辛かったら無理すんなよー?」
さっき楓にも電話切る直前にそれ言われた。
「分かってる。ありがとう。」
