日曜日は朝早くから起きて、予約していた美容院へ向かう。
「今日はどうなさいますか。」
「あ…着物を着たいので、ヘアメイクをお願いします。」
「かしこまりました。」
一時間ほどでヘアメイクが完了する。
「綺麗な髪なされてますね。」
「あ。ありがとうございます。」
そのまま店を出て泰成の家へ。
「凛。おはよう。おはるが張り切ってたよ。
あんな美人の着付けさせてもらってもいいのかって。
母さんも着たら見たいって。」
「あ、うん、ありがとう。」
泰成のあとをついてこの前とおなじ部屋に誘われる。
「凛さん、お待ち申し上げておりました。」
この前3人で選んだ着物の横でおはるさんが丁寧にお辞儀をしてくれる。
「よろしくお願いします。」
ちのも今頃は龍青のお姉さんにいろいろしてもらっている頃だろう。
「服などはお帰りの際に持って帰って頂ければ結構ですので。」
「あ、はい。ありがとうございます。
あの…」
「はい?」
「着物って…下着つけちゃ、ダメなんですよね。」
「ええ。
だめというか。体のラインがしっかり見えてしまうとどうしても美しく見えないので。
和装用の胸あてがあるのはご存知ですか?
それがないここの者はパットの入った肌着を身につけるようにしています。」
「わたし、そういうのも持ってないんです。」
「ふふ、大丈夫です。ご安心なさってください。」
おはるさんは優しく微笑むと、薄い着物の形をした生地を見せてくれる。
「本日は女将からせっかくだからきちんと正式な着付けを、と承っております。
こちらは肌襦袢といって、昔の人の下着のようなものになります。
こちらを着ていただいて、その上からタオルを巻いて、
お着物を着ていただくんです。」
つまり、肌襦袢は素肌の上から着るってそういうことだよね?
「ささ、服をお脱ぎになってくださいまし。
早くしないと間に合いません。」
おはるさんは笑って戸惑う私を促した。
しかたないか。
意を決して服を脱ぎ、あとブラを外すだけになったとき。
おはるさんの表情が、変わった。
「凛さん…これは…」
それもそうだと思う。
お腹も、背中も。太ももも。
服で通常隠れるところには全部様々な痣。
ブラの下にも、全て。
「おはるさん。内緒にしててくださいね。
この痣は全部古傷なので。」
「で、でも。」
「お願いします。
今まで、誰にも言わずにやってきたんです。」
ついこの前龍青には言っちゃったけどね。
「分かり、ました。」
「ありがとうございます。」
