もっと、キスして




店の奥には龍青のお母さんが集めたドレスがたくさん並べてある部屋があって。


そこでちのはドレスを選んだ。



その後、泰成の家へ連れていかれる。



「泰成の家、これ?」


私たちの目の前に建っているのは、高級老舗旅館。


8代続くこの旅館は古くから多くの富豪に愛されていると有名で。

雑誌とかで何度か見かけたことはあった。


「そうだよー。

もう母さんたちに着物のこと話してあるから安心してね。」


「泰成さん、おかえりなさいませ。」


「おはる。その他人行儀な態度やめてよ。」


「いえ。9代目に馴れ馴れしくするわけにはいかないので。」



おはると呼ばれたその女性は、まだ幼い顔つきに見えた。


「女将からお話は伺っております。

ご案内いたします、こちらへ。」


美しい仕草で流れるように奥へと案内してくれるおはるさん。


「このお部屋に。」


「ありがとう。じゃあ俺らはこっちで話しとくから。

おはる。二人に付き添ってやって。」


「え。」


泰成の突然の言い出しにおはるさんは素でびっくりしたような声を上げる。



「わたくしが、ですか。」


「うん。女の子同士のほうが凛も絶対選びやすいし。」



泰成と龍青がいても私は気にせず選ぶけどね。


「分かりました。

ではお嬢様方はこちらへお入りください。

龍青さんと泰成さんにはすぐにお茶をお持ちいたします。」


「俺らのことは気にしないで。ほらほら。」



泰成に背中を押され部屋へと入る。


そこには色とりどりの美しい着物が丁寧に並べてあった。



「きれい。」


「女将様がきれいなお着物が好きで。
今回のお話も大変喜ばれておりました。」

「なんで…」

「これだけ綺麗な着物がたくさんあっても。

女将が着れる時は少なくて。だからこの着物たちもずっとしまってあるばかりで。

人に着てもらえるって喜んでいらっしゃいました。」

「そう、なんですか。」


着られずに。

役に立てずに。

それでも大切に、しまってある。


着物にまで羨ましいと思うなんて図々しいな、私。


「凛っ、これどう?」


「それさっきちょっと思ったんだよね」


「好み似すぎでしょ!」


さっきのドレスの時もそうだったけど、

私たちがお互いに勧めるものは、お互いにいいと思ったものばかりで。


2つで迷い込んで結局おはるさんに決めてもらった。