もっと、キスして




扉の向こうから聞こえた優しい女性の声は、


まぎれもなく大家さんの声だった。



「あ…、千代さん…か、」



「凛ちゃ~ん?大丈夫~?」



「あっ、今開けるちょっとまって…!」



急いで玄関の戸を開ける。



大体大家の千代さんが訪ねてくるのは朝の時間帯だったから、



千代さんという考えは全くなかった。



「帰ってきたはずなのに開けてくれないから…


おばあちゃんびっくりしたわ。


大丈夫?」



昔、熱で寝込んでた時は、千代さんがいろいろ持ってきてくれた。



看病しようか?とも言ってくれたけれど、


いつあの人が帰ってくるかわからないし、部屋はものすごく汚いしで、



人を家にあげられる状況じゃなかったので、それはいつもお断りしていた。




「ごめんね、でも大丈夫。


ところで、どうしたの?」



「凛ちゃんがすごく大変な状況なのはわかってるから、


こんなこと言うのすごく心苦しいのだけれどね…。


このお部屋、あと2か月で契約満了なの。」



「契約満了…?」