もっと、キスして




ちのたちと合流すると、ちのはやっぱり私に抱きついて来て、


こっ酷く叱られた。


後から逃げるって言葉を信じたのにその気がないなら1人で背負わないで!とか、


ケータイは持ち歩いて!とか。


後者に関してはみんなに言われてしまった。



不謹慎かもしれないけれど、私のことを本気で心配して、


本気で怒ってくれてるのが嬉しかった。



私はみんなといるとき、紛れもなくひとりの人間として大切にされ、必要とされている。



その幸福感で、されたことへの心の痛みが吹っ飛んだ気がした。


「わたしは真面目に言ってるの!」


と、ちのは怒ったけれど。


「ごめん……でも、嬉しくて。」


そんな言葉でしか返せなかった。


「…っ〜〜!!凛大好きだからね!!」



全ての緊張の糸がほどけたのか、ちのはそう言ってもう一度抱きついて来た。



「ありがとう、私も。」



ちののことを抱きしめ返す。


痛み、誤魔化せてるかな。


怒られてもなおそんなことを思ってる私は、すこしずるいのかもしれない。



ことわざには確か、知らぬがなんちゃらということわざがあった筈だ。



知らない方が、いいことだってある。



わたしの痛みなんて、だれも知らなくていい。



それで、みんなが幸せになるなら。



ちのをなぐさめながらそんなことを思うわたしは、


後ろで龍青が苦しそうな顔をしてるのを知る由もなかった。