日焼け止めを塗り終わり、男3人を2人で喋りながら待っていた時。
「そこのお嬢さんお2人方〜。
君ら海聖でしょ?」
と言いながら見知らぬ男5人組が近づいてきた。
いや、厳密に言えば…4人の男の一歩後ろを偉そ気に歩く奴…そいつにだけは、見覚えがあった。
前に、私を攫った奴。
そして多分、私の腹を蹴った奴も…こいつだ。
「海聖だったら…何。」
ちのは隣で震えている。
思わず、ちのの肩を抱きしめる。
と、一番後ろにいた男が前に出てくる。
「…あのときはどーも。」
あの男は、確かトップの取り巻きのはずじゃ…。
こんなに人の多いところで連れ去るなんて大胆な行動に出るはずがない。
とりあえず、龍青たちが帰ってくるのを待てば…。
「男なら当分来ねえぞ。」
なんでよ…。
「なんでそんなことわかるの?
そこのお店までお昼ご飯買いに行っただけなんだけど。」
「俺らの仲間、みんなそっちにいってんだ〜」
なるほど。頭2人がそろってがいないのは、そういうことか。
「残念だったなあ?」
「だから、何?
ここで、あんたらに何ができるの?」
「お前、俺らが人目きにするだろうとか思ってんの?
だとしたら相当なバカだね。」
…ちのって足速かったっけ。
……そうえば春の身体測定でちのうちのクラスで下から数えた方が早かったな…。
「何が目的?」
せめて、ちのだけでも。
「そうだなあ。女は一人一人別れてもらいてえよなあ。
2人ともいたらおっかねえ。」
少しずつ、男たちとの距離が近くなる。
「ちの、走れる?」
男たちに聞こえないように囁く。
「えっ…?」
「いますぐ、あそこのお店、一番近いとこまで精一杯走って。」
「凛は…!?」
「わたしは、かけっこ早いから。わたしが先に行くとちのが置いていかれるでしょ?
…ちゃんとあとから追いかける。」
ちのはそれを聞くと、少しだけ躊躇ったあと、わかったと小さく返事をして、お店まで走った。
