もっと、キスして


陽の光を浴びて思う存分光る水面と砂浜。
数えきれないほどの人と、その人たちに浮かぶ笑顔。
砂浜の外は出店で賑わって。

砂浜は、真っ白じゃなくて、
みんなが敷いてるきれいなシートの色で彩られている。

「こんな光景…私の人生で見れるなんて思ってなかった…。」
「…見せてやるよ。これから先、何回だって。…お前が見たい時に、いつでも連れてきてやる。」

そう言って頭を撫でてくれる龍青。

「…行くぞ。」

そう言って歩き出した龍青の背中が、大きくて。

「うんっ…!」

私もそのあとに続いてみんなを追った。
3人のところに着くと、早々とシートを広げ始めていて。

「あ、龍青、荷物…。」
「何?…中にとりたいもん入ってんの?」
「それもあるけど…そうじゃなくて、…持ってくれてありがとう。」

私が微笑んでそういうと、龍青は少し驚いたようにこっちを見た。

「そういうのやめろ、まじで。
心臓が足りねえ。」

なんだそれ。

大貴とちのは何故かこちらを見てにやけている。
その反応をみて、龍青の言葉の意味をきちんと理解した私は、急に気がすこし動転した。

「ち、ちの。日焼け止め塗ろ。」
「はいはい。分かりました〜。」

ちのは楽しそうにしている。
からかわれてる方はちっとも楽しくないけれど。

「ちの、凛。なんか昼買ってくるな?」

どうやら男子たちはお昼ご飯を買いに行くらしい。

「はーい。」

ちのと2人で声を揃えてそう返事をして、2人でまた日焼け止めを塗り始める。

「凛、水着ちゃんと中に着てきた?」
「うん。教えてくれてありがとう。」

前の日の夜、明日は水着中に着てくると楽だよって言われたから今日は水着は下に着ていた。

「それにしても…白ティーにデニム短パンってめちゃくちゃラフなはずなのにそれだけおしゃれに見えるとは…凛の美貌が恐ろしいよ。」
「おしゃれ…?どこが。
部屋着同然なんだけど…。」

おしゃれはもちろんしたかった。
でも、お気に入りの服は全てあいつに破かれた。

部屋着同然の服しか、残ってなかっただけだ。