みんなが寝静まった後。
なんだか寝れなくてベランダでぼーっとしていた。
「…寝れないのか。」
びっくりして体が跳ねる。
振り向くとホットココアを持った龍青。
「…少し。
…龍青、ココアなんて飲むの…?」
「飲まねーよ。お前にだ。」
「…ふふっ、ありがとう。
わたし、龍青にココアすきって言ったっけ?」
「言ってねえよ。
覚えてねえのか?海行ったとき。
カフェでココア頼んでただろ。」
「…そんなこと…覚えてくれてたの…。」
「…普通、記憶力は悪い方なんだがな。」
「…嬉しい…っ。」
龍青が私にしてくれる行動のひとつひとつは、
図らずも私のことを笑顔にさせる。
いまも私はひそかに、自然と口角があがったのを感じていた。
「その顔やめろ。」
「…ブサイクっていってる?」
「…なわけあるか。」
顔を俯かせて目をそらす龍青を前からのぞき込むと、
少し頬を赤らめていた。
「見んなばか。」
「いいじゃん減るもんじゃないし。」
いつもはかっこいいし無表情なのに。
たまにこうして表情を崩すのずるいと思う。
