「凛、行くぞ。」
「うん。」
初めて海に連れてってもらった時のように、龍青のバイクにまたがり、手を腰に回す。
「悪くねえな。」
「何がよ。意味わかんないから。」
「しっかりつかまってろ。」
「分かってるし。」
大好きな人の。
龍青の香りをかぎながら、離れないように抱きしめて。
こんなに汚れてしまった私では
思いを伝えることなんてできやしないけれど。
せめて、
こんな時が、
一秒でも長く、続けばいいと
心の底からそんなことを思った。
大好きな人と一緒にいると、本当に時間が経つのは早い。
「ついたぞバカ。」
「知ってるからちょっと黙ってて。」
離れたくなくてずっとしがみついてたくて。
バイクが止まっても腰に回した手を緩めずに背中に蹲ってたら、
龍青が沈黙を破った。
「無意識か?」
「えっ?なにが?」
「なんでもねえ。早くとって来いよ。」
「一緒に来て。」
「…はあ?」
「何でもない。」
いまだけは、何を言っても許される気がしていた。
