別に、好きじゃないから!

ー穂乃sideー

玲大が不機嫌そうにしてて、いきなり立ち止まったから振り返ると、そこには玲大の顔があった。
近くて、恥ずかしくて、見つめるなんてできなくて、この体勢のままでいたいと思う気持ちもあったけど、あえて逃れようとした。
でもそれは、しようとしただけで、実際に逃れることなんてできなかった。
私の肩をつかむ玲大の力はいつの間にか、私の力なんて及ばないほどになってて、あぁ、男子なんだなぁなんて感じた。

「…っ…!」

そして私の唇にはふわっとした感触があり、唇が離れてから「キスされた」と気づいた。

「…玲大…。」

「…っごめん、俺…」

顔が赤い。こんな玲大、初めてだ。

「…うん。今のって…その、」

「…キス。」

「そうだね、私の、ファーストキスだね。もちろん、玲大にとっても。」

「…うん。」

「初めてを、私にくれたの…?」

「そうともいえるけど、俺は、初めてをお前から奪った。」