「いや、なんでもないよ」 私からは目を離さずに、彼が言った。 《キーンコーン…》 しばらくしてチャイムが鳴り、橋崎と呼ばれていた男子はスッと視線を反らしてそのまま教室に消えていった。 なんだろう、この違和感・・・ 鳥肌が立つような、奇妙な緊張を感じながら私はしばらくそこに立っていた。