歩いていると閑静な住宅街にぽつりと建っている二階建てのボロいアパートにたどり着いた。



無造作に伸びているツタがそのアパートの寂しさを物語っているかのようだ。



今の私の居場所は、そこだった。



《カチャ・・・パタン》



いつもおかえりの代わりに聞こえてくるのがこの音だ。




両親の事故の後、私は引き取られた叔父夫婦にいつまでも慣れずにいた。



高校は一人暮しをしたいといって、本当にすんなりと許可してくれたのは、そのせいだろうと思う。



聞くと、お金は国からの補助でまかなえているという。



だが、私は知っている。



実際は私の両親の保険金がかなりの額であり、未だに余裕であるということを。


というのは、私は両親の事を本気で封印していたようで。



そのことを叔父と叔母が話していたことも事故のことを思い出すまですっかり忘れていたのだ。



結局、あの人たちは私ではなくお金を見ていたということだ。



まぁ、そのおかげで今一人暮し出来てるんだけどねぇ・・・



私は複雑な心境で乾いた笑いを漏らした。



そのままベットに寝転がり、脳みそを回転させた。