「そんで、世界でたった2つの都市は、時間を管理する超高性能人工知能型端末『クロノス』を維持させるか否かで争ってる」
時間を管理する超高性能人工知能型端末―『クロノス』。
確か、クロノスも教えてくれた。
あの時計台から、ずっと『時間』を管理してきたって。
「クロノスを信仰しているのは、ローゼンクロイツ、俺達は、クロノスを破壊する派の、レジスタンスってわけだ」
タスクは、クロノスを壊そうとしている?
クロノスは、心をもって、やっと人間らしくなったのに、機械だからって、クロノスを壊すなんて簡単に言わないでほしい。
「どうして、クロノスを壊すの…?」
だから、ちゃんと理由を聞かせて。
クロノスが、何かしてしまったの??
「それは…って、朱里!顔色が悪……」
「それは、クロノスが俺達の時間を管理してるからだよ」
あたしの問いに、タスクではない誰かが答えた。
「タスク、その子やっと起きたんだ?」
深い紫色の髪と瞳をもった、女の人みたいな顔立ちの男の人が、こちらへと歩み寄ってくる。
「朱里、コイツは、アヤトだ」
「どうも」
アヤトはチラッとあたしを見て、すぐに視線を反らした。


