いつかの君のセカイ

なんで俺がここに来ているのか。


それは多分、心配だからだと思う。


でも、それと同時に今までにない不思議な感覚もあるのも確かだ。


確かに昨日一緒にいる時間は楽しかったというか居心地が良かったから。


だが、女子を得意としない俺がこんなふうになっているのは驚きだし、気持ち悪い。


彼女はどう思っているのだろうか。


「あ、優先輩。ずっと思ってたんですけど、井口さんじゃなくて井口でいいですよ??敬語じゃなくていいですし」


「ああ、その方がいいかな??くせで、さんとかつけちゃうんだよね」


「ふふっ、礼儀正しいんですよそれだけ」


「なんだなんだ。昨日の一日でそんな仲良くなっちゃったわけ!!」


空がグイグイと俺の腕に肘を当ててくる。


色男〜とでも言いたいのだろうか。


「昨日は食事をしただけだって!!」


「そうですよ、食事しに行っただけですから」


ナイス井口!!
合わせてくれるだけでも空は信じてくれるはず


「そっか〜、井口ちゃんがいうならそうなんだろうなぁー」


「お前、突然呼び方井口ちゃんはまずいだろ」


「別に大丈夫ですから...ほら学校行きましょ??」


井口に言われてからゆっくりと学校に向かって歩き出した。


一時間目から体育の授業
体力測定である


「さてと、気合入れていきますか!」


「優って運動系はどれもすごいよな〜。勉学は普通だけど」


「勉学普通以下のお前に言われたくないわ!!」


確かにスポーツは得意だ。


勉強は嫌いではないが好きにはならない。


ただ、空には馬鹿にされたくない。


理由ならある、高校1年の成績表の結果を見れば一目瞭然。


体育5以外ほぼ2だから、授業しっかり受けて提出物だしてりゃそんなことにはならないはずなんだけど...


そんなやつに馬鹿にされてもねえ。


「運動だけは俺だって負けないっつーの」


「正直運動は俺の方が下かな」


そんな会話を続けている最中、授業が始まった。


最初の測定はお馴染み50m走。


何故か知らないが部活に入っていない俺が運動部の奴らと測定させられるのが不思議だ。


空のやつは帰宅部メンバーで走っているのに。


ゴールラインには女子が集まって人気の男子に応援を送っている。


高校のあるあるとも言えるだろうか??


「よーい。」
バーン


スタートの合図が鳴り響く。


6秒22...まあ悪くないな。


ちらっと空の測定結果を見ると...


6秒15...ですよね。