「君目が見えないのかい?」


俺は咄嗟に出た言葉がそれだった。
さっき彼女が言ったことをまた聞いてしまった。
結局彼女は、はい。と答えた。



「そ、そうなのか...えっと、制服から見て俺達と同じ高校の制服だね。もしかして1年生??」


「はい。ってことは2、3年生の方ですか??」


もちろん2人で2年生です。と答えた。


「でもさ、目が見えてない君が一人でいるなんて危なくないか?」


空からの質問が珍しく出た。
その質問に彼女は答えてくれた。



「目が見えていないからって、周りの人に迷惑かけたくなくって...自分で出来ることは自分でやりたいって思ってるんです私」


なんて純粋で前向きでいい子なんだろう。
彼女はそう言って俺達に続けてこう言った。



「今日、助けてくださったので、明日お礼をさせてください!午前中で授業終わりだったと思いますし。」


「でも俺達と選択コース違うっしょ??目が見えていないってことは」


「そうなんですけど、あんまり私は高校には行きません。寮の方に担当の先生が来て下さるので」



なるほど、それなら安心だ。
おそらく先生方も彼女のことを考えてやってあげることだろう。


「それなら安心だな!じゃあ明日俺達はどうすればいいんだ??」


空がグイグイと話を進めていく。


「1時半にコンビニ前に来てください!では私はそろそろ戻りますね。」


送っていこうか?と聞こうと思ったが彼女は深々と礼をして歩いていってしまった。



「めっちゃ可愛いなあの娘」


「お前はそれしか考えてないのか!」


結局こいつはそういうやつだったのを忘れていた。
まあ、こいつもちゃんと心配はしているみたいだったけど。



あの後、俺達も解散して家に帰った。


飯を作って食べて、風呂に入っている時にふと思い出されるのは彼女。


あああ!!なんでさっきっから彼女の顔が出てくるんだあああ。
学校の登校中に見かけた彼女。
実はその時の表情は悲しげで、何かを考えているようだった。


だからたまたま助けてすぐの顔を見た時俺の中であの時の表情は何だったのかなと考えてしまうのだ。


「ああ!!なんかモヤモヤする歌聞いてねる!」


独り言で俺はそう言ってすぐ眠りについた。