「……なんかお前、ムカつくんだよなぁ」
ぽそ、と呟かれた言葉に、私は思い切り顔をしかめた。
さっきから失礼なことを言ってくるのも、失礼な態度をとってくるのも、崎本くんのほうなのに、どうして私がそんなことを言われなきゃいけないわけ?
「もっと可愛げのある言い方、できねーのかよ。……あー、わかった。可愛げがないから、その顔で恋愛偏差値小学生並みなんだな」
「は?」
「いいか、男は結局、守ってあげたくなるような女子が好きなんだよ」
諭すような口調で、意地の悪い笑みを浮かべて言った崎本くんの言葉が、ぐさっと胸に刺さった。
たしかに、守ってあげたくなるような女子、に私は入らないと思う。
崎本くんの言葉を信じるのは癪だけど、恋愛経験は豊富な彼のことだ、あながち間違いではないのかもしれない。
だとすれば、仁科くんもやっぱり、そういう女子が好きなんだろうか。
今、いい感じだというマネージャーは、そういう子なんだろうか。
思わず黙りこんでしまった私に、崎本くんがふっと小さく笑った。
「……手伝ってやろうか?」
その言葉に、私は大きく目を見開いた。
意味が分からなくて、私は何も言えずに彼の瞳を見つめ返すことしかできない。