君と秘密のラブレッスン


「あれ?」

白いコンクリートの上に落ちていたのは、紺色のカバーのついた手のひらサイズの手帳。

誰かの生徒手帳のようだ。


お昼時は結構人がいるから、そのときに誰かが落としたのかな。

そう思いつつ拾い上げて学校名と校章の描かれた表紙をめくり、表紙の裏側に書かれている持ち主の名前を確認する。

生徒手帳には何か挟まれていたから、それが落ちないように気をつけてページを捲った。

するとそこに書かれていたのは、『崎本飛鳥』の文字で。


「なんだ、崎本くんのじゃん」

私はひとり呟いて、手帳を手渡そうと振り返った、瞬間。


「っ!」


まるで取り上げられるように、私の手から生徒手帳が奪われた。

……べつに、じっくり中を見ようなんて思ってなかったし。

慌てなくても、今すぐ返そうとしていたのに。


そんなに乱暴に取り上げなくてもよくない!?


「……触んな」


私から取り上げた生徒手帳をムスッとした顔をしてポケットに突っ込んだ崎本くんは、先程の面白がるような口調から一変、不機嫌そうな声でそう言った。