──そう理解した瞬間、カッと頭に血が上った。
だって。
私、キスもしたことない。
それどころか、両想いにだってなったことないのに!
叶わない恋ばかりで、上手くいかない恋愛ばかりで。
今だって、好きな人に彼女ができるかもしれない不安で押しつぶされそうなのに。
なのに、どうして崎本くんにそんなことを言われなきゃいけないわけ!?
「勝手なこと言わないでよ!
私、清純ぶってなんかないし……、大体、崎本くんくらい経験値があったら、今だってこんなに悩んでない!」
カッとなったままに声を上げると、思ったより大きな声が出た。
自分の言葉がこんなに私を怒らせたことが意外だったのか、崎本くんは面食らったようにポカンとした表情を浮かべていて。
やがて少しの沈黙の後、彼はかすかに唇の端を上げると、「へえ」と面白がるような声をこぼした。
「……意外。もしかしてお前、まさかの恋愛経験ゼロ?」
「!」
な……っ!
なんでそこまでわかっちゃうかな!?
私、そこまでは言ってないんだけど!
思わず驚いて目を瞠る。
すると崎本くんは、そんな私の反応に自分の推測が当たっていることを確信したようだった。
……ああ。
私って本当、隠し事向いてない。


