だって、あのときは本当にびっくりしたんだもん。
仁科くんに、仲のいい女の子がいるなんて。
衝撃すぎて、不安すぎて。
周りに気を配る余裕なんかなかった。
実は今だって、真嘉に電話をかけて状況を聞きだしたい気持ちでいっぱいだけど。
それは部屋に帰ってからだと自分を諫(いさ)めて、なんとか我慢している状態なのだ。
「つぐみが恥ずかしい人だってことは前から知ってたから、別にそこはどうでもいいんだけどさ」
空いている席を何とか見つけて腰をおろすと、新菜はなんとも失礼な前置きのあと、
「何をほっとけるわけないの?」
と再び聞いてくる。
「……それ話すの、食べてからじゃダメ?」
「だめ」
ぐーっと鳴った正確な腹時計に我ながら感心しながら聞いてみたけど、一蹴された。
私は仕方なく、手に取ったバターロールを一度皿に戻し、顔を上げる。


