この青空が溶けて見えなくなる前に。




ズルい。
そうやってはにかんだ笑顔見せて私の頭を優しく撫でるんだから。



これじゃ、何も言えなくなっちゃうじゃん。



唯一言い返せたのが。



「……悪いと思ってるなら、教師用の教科書貸して。
そしたら許してあげる」












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鼻唄を歌いながら廊下を歩く。
ほんとはスキップをしたいところだけど、変な目で見られるからグッと堪える。



教師用の答えが書いてある教科書を貸してと大ちゃんに言ったけど、「さすがにそれは無理だな」と苦笑いして言われてしまった。



でもいい。
とんなに子供扱いされても、断られても大ちゃんに会えたから。



大ちゃんの笑顔が見れて、大ちゃんの手に触れて、頭を撫でてもらったから。




休日にいつも大ちゃんと会ってたけど、最近は大ちゃんが家にいないことが多いからそれがなくてずっと大ちゃん不足だった。



そんな私からすれば朝からこんな贅沢ができて、満足すぎるくらい幸せ。



「…フフフ」



大ちゃんから借りた教科書を抱き締めるようにして持つとさっきのことが思い浮かんで、つい笑ってしまう。