「こんな想い……知らなきゃよかったよ…っ」




大ちゃんに対する想いを知って、その想いによってこんなにも苦しくなるのならこんな想い知らずにいればよかった。




誰かに恋をすることがどれだけ苦しいのかを知ってしまった。




恋をすることがこんなにも辛く苦しいのならもう恋なんて……




「…でも兄貴への想いを知ったから見えた景色もあったでしょ?」


「え、…?」




徐々に落ち着いてきた私の耳に届いた言葉に驚いて、友里亜に抱きついていた体を離して友里亜を見つめた。




友里亜は私を見て笑いながら目尻に残る涙を拭ってくれる。




大ちゃんへの想いを知ったから見えた景色…?




そう言われて思い返せば、大ちゃんを好きになってからは毎日が楽しくて。




いつも大ちゃんのことばかり考えてた。
今大ちゃんは何してるのかなとか、大ちゃんを見つければ体が自然とそっちに向かっていた。




大ちゃんの眩しい笑顔が見れれば今日1日何があっても楽しく過ごせた。




悲しいことなんかなかったといえば嘘になるけど、そう思ってしまうほどに毎日がキラキラと輝いていて。




誰かを好きになって恋をしたことで感じることがある。
もしかしてこれが友里亜の言いたかったこと?




下を向いていた顔を上げて再び友里亜を見れば、私の言いたいことが分かったのか友里亜は微笑みながらゆっくりと頷いた。