「起立!!礼!!」
「さよーならー」
号令がかかり、私は急いで席を立つ。
「・・・そうだ詩麻、今日どっか寄ってこ・・・ってちょっと詩麻ぁ?!!」
後ろから藍実の声が聞こえたけど、私は無視してドアを開け、廊下へ出た。
そのまま廊下を走って、3年生の、おうちゃんのいる教室へ。
窓の外から入る風が耳元でひゅうひゅうと鳴る。
汗ばんでくっついたブラウスをパタパタしながら、全速力で。
私が通るたび振り返る知らない人たち。
恥ずかしいとか、そういうのはなかった。
階段を降りて、おうちゃんの教室の方向を向く。
おうちゃんの教室の前に、先輩、後輩、同級生の女子が群がっていた。
乱れる呼吸を整えながら、そっとその集団に近づく。
女の子たちは、私なんか気にもとめないで、教室を覗いてキャッキャッと騒いでいる。
私もそれに混ざって覗くと、女の子たちの視線の先には、
「・・・ケホッ・・・おうちゃん?」
おうちゃんがいた。
私が名前を呼ぶと、静かに本を読んでいたおうちゃんが顔を上げて、キョロキョロした。
もう一度、名前を呼んでみる。
「おうちゃん!」
