「・・・し、詩麻・・・急にどうしたの」

明らかに動揺している隆貴。
やがてじんわりと頬が赤く染まる。


「・・・ただ、寂しかったの。だから、人のぬくもりが欲しくて。」

私は両手で隆貴のほほを包んだまま、笑った。
隆貴の片耳についたピアスが月夜にキラリと光る。


「・・・そっか。」

やがて平静を取り戻した隆貴は、私のほほを包みかえした。

「・・・!」

男の人なんだ、とよく分かる、手の筋。
改めてこんなことをされると、少し緊張する。

・・・小さい頃は、こんなの何とも思ってなかったのに。

どうしてこんな自分になってしまったのか。

不思議で、たまらない。


「・・・詩麻も、女の子になったんだね。ううん、もう、立派なレディーかな?」

そう私に言って、柔らかく笑う隆貴。


「・・・隆貴も、だよ。」

やがて私は隆貴を包んだ手を自分の膝におろした。

そして、隆貴も手をおろす。




「・・・さ、リビングに戻ろう。いくら夏だからって、こんな所にいたら風邪ひいちゃう。」


「・・・そうだね。」