現実世界で捕まえて



平凡な日々だった。

平野課長は早退したあの日から姿を消し。
送別会もないまま移動してしまった。

私は彼と社内で公認の仲となり
みんなに尊敬の目で見られていた。

「『待って下さい?』それは何語です?」

「提出書類の不備は人間として終わりでしょう」

「『手形が落ちないかも?』では取引先の社長の手を切断して、指紋認証で秘密の金庫を開けてらっしゃい」

西上係長。
今日もグサグサと突き刺してます。

そんな人と付き合ってるなんて、私も自分で尊敬します。

でもうちの会社は売掛金の回収率が子会社でトップだそうです。
誰かさんのおかげでしょう。

一緒に会社に行き
私の残業が無い時は一緒に帰る。

たまに映画に行ったり
外で食べたり
DVDを借りたり

普通の日々。

旅行も飽きたし
買い物も飽きた

彼の手料理は最高で

彼が傍にいれば

それでいい。

何もいらない。